大人になれない大人達へ
CDのジャケ買いという言葉があるけど、
まさにカバー買いしてしまった本です。
「ボクたちはみんな大人になれなかった」
なんだか、薄暗い世界に少し光があたっているような感覚になるそんな本でした。
そして、どこのページを読んでもなんだかセンチメンタルな気持ちになります。
簡単にあらすじと感想を綴ります。
【あらすじ】
日々を刹那的に生きているボク。
たまたまFacebookを開くとかつて大好きだった彼女が
「友達かも」の表示に出てくる。
そして、誤って「友達リクエスト」を送ってしまうことで、過去の記憶が蘇る。
お金も社会的な地位も全く無かった昔。彼女の存在が生きるすべてだった時代。
そんな「昔」を、日々の生活ができるには十分な金銭的余裕と、
業界の中での地位も得てきた「今」のボクが振り返る物語。
【感想】
この話は私が幼少期に青春を過ごした人たちの話。
今の年齢でいうと40歳位なのかな?
時代背景や当時流行っていたものに共感は出来なかったけど、
主人公の「僕」が自分より好きな人の面影からまだ離れられず、
どこか青春時代から精神的に抜け出せないようなそんな心理状態は
なんだかとても共感できて、切なくなる話でした。
- 頑張りたいと思える人=好きな人
...彼女と出会ったこの日、ボクは止まっていた自分の人生の秒針がカチカチ動き出したことを確信した。決断力のある人間に見られたくなった。行動力のある人間だと信じて欲しかった。.... 生まれて初めてボクは頑張りたくなった。
このフレーズは人が誰かのことを好きになる気持ちをすごく表している気がしました。
その人に良く思われたい、頑張りたい、そんなことを思える人が好きな人何だろうなと思います。
主人公の現在がなんだか刹那的で、生きるバイタリティみたいな物があまり感じられないのは、「自分より好きな人」=「頑張りたいと思える人」がいないから、なのかなと思います。
好きな人がいるだけで、頑張れる、生きる力が湧いてくる。
そんな恋愛をしたいものです。
- 承認欲求
SNSでたくさん「いいね」がつくと、なんだか自分が承認された気持ちになります。
でも、本当の承認欲求は
SNS上のたくさんの「いいね」では満たされないのだと思いました。
こんな文がありました。
「キミは大丈夫だよ、おもしろいもん」
どんな電話でも最後の言葉は、それだった。彼女は、学歴もない、手に職もない、ただの使いっ走りで、社会の数にもカウントされていなかったボクを承認してくれた人だった。あの時、彼女に毎日フォローされ、生きることを承認されることで、ボクは生きがいを感じることができたんだ。
金銭的にもある程度の余裕がでてきて、ある程度社会からの承認を得ても、
SNS上でたくさんの「いいね」をもらっても、それは本当に求めている承認欲求ではないのかもしれない。
社会の一員ともカウントされなくても、
社会からみれば、ゴミくずのような小さな存在でも
本当に自分が好きな人、自分より大事だと思える人から「承認」されることで、
人間の心は満たされ、救われるのかもしれない。
とてもとてもセンチメンタルな気持ちになる作品ですが、
なんだかこんな恋愛がしたくなるような話でした。