1ミリの後悔もない、はずがない
こんなに夢中になった小説は久々。
あらすじ
問題ありの家庭で育ったゆいの中学時代の初恋をベースに5つの物語が進んでいく。
人生が真っ暗にも思えたゆいが初恋の相手桐原と出会うことによって、生きることに喜びを初めて知る。そこから大人なった彼女が当時を思い出す。
そして、彼女の中学、高校時代に出会った人々も大人になり、当時のことを思いつつ今の自分を見つめていく。
感想
一つの出会いが人生を救う
大人になってゆいは結婚して、幸せな家庭を気づいている。ゆいは中学時代、どん底な家庭環境で、スクールカーストでは最下層観たいなイメージなんだけど、そんなゆいが、桐原と出会って、仲良くなってつき合うことになる。
この出会いが無ければ、大人になってももしかしたら人のことを信じられなくって、幸せな生活は遅れなかったかもしれない。
一人の人と出会って、信じることとか、人を好きになる気持ちとかを知って、その気持ちがあるから、辛い現実にも耐えられる。そんな風に思える人に出会うってなんだかとても素敵だし、こんな初恋なら一生引きずってし合うという切なさ。
きれいごとではない、人間の感情
物語はゆい目線だけじゃなくって、ゆいの友達や同級生、みんなのあこがれだった先輩など、色んな視点で描かれる。その中でも、ゆいのことを嫌いだった加奈子の目線はなんだかリアルである。自分より地味な人間を見下す感情、自分よりカースト順位が低い奴が自分の好きな人とつき合いだして嫉妬の感情が爆発しそうな気持ち。
そして、加奈子は今も自分のステータスを気にしながら、生きている。以外と一番共感を集めるキャラクターは加奈子何じゃないかって思う。
人に嫉妬したり、負の感情はだれでも持ってしまうけど、他人と自分の位置だけを気にしていると結局幸せにはなれない。今の自分をよりアップデートしていく努力をしなくては誰もが加奈子のようになってしまうんじゃないかな。
まとめ
色々な登場人物の視点から、過去と現代が交互に描かれていてとても読みがいがある。
椎名林檎絶賛の理由も読めば納得。次回作も絶対に読む。
この本は作者の一木けいさんが自分へのカウンセリングで書いた小説らしい。
一木さんはいじめにあっていてた過去を思い出しながらこの小説を書いたのだとか。だから、ゆいの寂しい感情とか、ゆいの娘がいじめに遭うシーンとがが文字からも鮮烈に浮かび上がるのかな。
この小説で伝えたいことは、どんな環境にいても、自分がゴミみたいに思えてもどこかで自分のことを必要にしている人がいるということなのだと思いました。タイトルの「1ミリの後悔もない、はずがない」はそんな大切な人との時間は当たり前でなく、失ったときに必ず感じる感情なのだと思う。
自分の周りにいる大切な人との時間をなるべく後悔しないように日々過ごしていこう。