会社はモンスターなのか
先日行った、未来フォーラムのイベントでサイボウズの方も登壇されていて
働き方について様々な取り組みをしていて興味が沸いたので、
サイボウズ社長の青野氏が書いた本を読んでみました。
「会社というモンスターが、僕たちを不幸にしているのかもしれない」
タイトルがなかなか印象的。
サイボウズが実際に取り組んだことやご自身の経験を踏まえ、
これからの働き方や会社のあり方について書かれている本です。
概要
日本人のサラリーマンの美徳文句、「会社の為に頑張ります」。
しかし、そもそも会社は実体のないものである。
我々日本のサラリーマンは今まで実体のない会社という「モンスター」のために、
我慢すればいつかは報われるという幻想にとらわれて仕事をしていたし、
今でも日本の多くの企業が社員に対してそのような幻想を抱かれ、
我慢レースの中で働かせている。
では、我々は本当は何のために働いていたのか、それは代表取締役。
代表取締役のビジョンが何かを意識して働かないと、もしかしたら、
その代表に自分の努力は搾取されているだけかもしれない。
それでは一生仕事は楽しくならない。では、これからどう働けばいいのか。
それは、自分のやりたいことと会社のビジョンがすりあっているのかを見極める。
そして、それがすりあっていないのであれば、
環境を変えるような人材の流動性がこれからの社会で必要ということ。
会社もそのような人材の流動性をみとめることで、真の「働き方改革」ができる。
感想
会社の正体
タイトルでもあるように「会社」=「モンスター」とこの本では表現しているが
本当にドンピシャな表現だと本を読むと思う。
確かに会社って何が会社なのかすぐに答えられない。オフィスは会社ではないし、
社長は会社でなくそこで働くトップということだ。
そんな実体のない存在、まさにモンスターは大きくなればなるほどお金を貯めこみ
そこで働く人間はなぜか巨大なモンスターの使用人として
働くことをやめることができなってしまう。
私はアメリカ時代も含めると今3社目であるが、3社とも名前のしれた大企業である。
大企業で働きたかった理由は、その会社でしかできないことがあったからではなく、
どちらかというと、「こんな大きな会社で働いていてすごいね」と周りに
思ってほしいからである。
昨年転職活動をしたとき、正直大企業にこだわるつもりはなかった。けど最終的に名前のしれた企業に入社を決めた。今の会社はいい会社だし後悔は全くないけど、
前の会社を辞めた時に「この会社よりいい会社に入れると思うなよ」みたいな言動や」空気感を上司や人事から出され、
悔しかった気持ちが強かったのも選択を決めた一つの理由でもあった。
会社というのは大きければ大きいほど、洗脳能力も大きくなって
「この会社よりもいい環境なんて他にない」とそこで働いている人に思わせる能力を持っているのかもしれない。
そういう意味でも、まさにモンスターで、
人をいとも簡単にコントロールしてしまうのだと思う。
思考停止にならない為に
本の中でこんなエピソードが紹介されていました。
青野氏が中学時代に漢字学習の方法で教師ともめている話です。
教師のやりたいことは「生徒に漢字を覚えてもらうこと」、私がやりたいことは「漢字を覚えること。ただし、毎日半ページも書きたくない」です。その構造を理解し、円を重ねて新しい技を編み出したつもりでしたが、教師の大きな反感を買い周囲の笑いものになってしまいました。
私も似たいような経験があります。
中学の時に定期テスト前にテスト学習計画表なるものを作成し
提出しなくてはならなかったのですが、
作成する理由がよく分からず提出しなかったらかなり怒られた記憶があります。
正直、予定表を立てたところで私は予定表通りにやらない、
体調によってその日勉強する教科は変わってくるのだ。
それにこの予定表をきれいに先生の思っている通りに仕上げている生徒より
成績がいい自信があったので、私には提出する必要がないと思っていた。
教師や上司から言われたことをきちんと行うは一見正しいように見えるけど、
なぜそれをやるのか、その理由を知らず言われたからやるでは、
ただの思考停止なのだ。
しかし、今の日本ではこの思考停止を正しいことと
教えている風潮があるように思えてならない。
青野氏の漢字の学習は説明した最終的に教師も納得してくれたようだが、
私のあってきた多くの教師は理由もきちんと説明してくれず、
「言われたことはきちんとやれ」を押し付けるばかりだったと思う。
自分にとって必要なことをきちんと理解し、
大人が言ったことに対して疑いの目をもちつつ自分の決断には自分で責任を持つ。
この能力を育てることがこれからの日本社会には必要なことなのではないかと思う。
働き方改革はなぜ楽しくないのか
本書の中でも、働き方改革について触れられている。
現状の働き方改革は「残業時間の削減」を主として
働く楽しさみたいなものは度外視だと思うことが私も多い。
残業時間が少なければ楽しく働けるわけではなく、
オフィスからただただ追い出されるだけで、現状家に大量の仕事を持ち帰って
しかも残業代がでないなど、悪い方向ばかりに進んでいるように思う。
会社が働く環境として社員にどんなバリューを提供し、
社員がやりたいことや求めている生活を実現させるために何ができるのかを
個社ごとに考えなければ、形ばかりの働き方改革は、
むしろ悪い方向に進むばかりなのだ。
まとめ
日本という国は我慢を美徳としている傾向が強く、楽しく生きていくことを
認めない国である。しかし、その考え方を変えていかなければこの国はイノベーションも生まれず、衰退していってしまう。
働き手がどんどん減る中で、人を我慢させ長時間働かせるソリューションではなく、
やりたいことが重なり合ってそこにイノベーションが生まれていく社会に
希望を持ちたいと私は思います。
サイボウズの働き方に、とても興味が沸く本だったので、
イベントみたいなものにも是非参加していこうと思います。